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論文

Heavy-quark spin polarization induced by the Kondo effect in a magnetic field

末永 大輝*; 荒木 康史; 鈴木 渓; 安井 繁宏*

Physical Review D, 105(7), p.074028_1 - 074028_19, 2022/04

 被引用回数:2 パーセンタイル:36.77(Astronomy & Astrophysics)

本論文では、クォーク物質中での近藤効果が、磁場下においてヘビークォークのスピン偏極を誘起する新たなメカニズムを提案する。高密度クォーク物質中では、アップ・ダウン等のライトクォークに対してチャーム・ボトム等のヘビークォークが不純物として働き、カラー交換により相互作用を増幅する「QCD近藤効果」が起こることが理論的に示唆されている。この際にヘビークォークとライトクォークによって構成される近藤凝縮により、ヘビークォークとライトクォークのスピンは混成する。そのため、クォーク物質中でライトクォークが磁場と結合すると、近藤凝縮を介してヘビークォークのスピン偏極も誘起される。このメカニズムを示すため、Nambu-Jona-Lasinio型の相互作用を持つモデルを用い、$$U(1)_{rm EM}$$ゲージ対称性を考慮した頂点補正を加味して計算を行う。これにより磁場下で誘起されるヘビークォークのスピン偏極を線形応答理論に基づいて調べ、近藤効果の発現によってヘビークォークのスピン偏極が如実に誘起されることを示す。これらの結果は今後、符号問題を回避した格子シミュレーションにより検証が期待される。

論文

スピン偏極陽電子ビームの応用研究

河裾 厚男

放射線と産業, (139), p.18 - 22, 2015/12

スピン偏極陽電子ビームを用いた強磁性材料のバンド構造に関する研究、及び、最表面における電流誘起スピン蓄積に関する研究について平易に解説する。スピン偏極陽電子をハーフメタルとして期待されるCo$$_{2}$$MnSiとCo$$_{2}$$MnAlに打込み、消滅$$gamma$$線のドップラー拡がりスペクトルを観測した。その結果、これら合金のバンド構造がCo-Mn間の無秩序化に対して安定であることが知られた。また、バンド理論との比較からCo$$_{2}$$MnSiが高いハーフメタル性を持っていることが分かった。Au, Cu, Pt, Pd, TaそしてW薄膜表面における電流誘起スピン蓄積をポジトロニウム消滅法により観測した。その結果、AuとCuではスピン蓄積が非常に小さいのに対して、それら以外の薄膜については数%オーダーのスピン蓄積が見られた。また、PtとPd対WとTaでは、同じ電流の向きに対して誘起されるスピン偏極の方向が異なることが分かった。これらは電流誘起スピン蓄積が、スピン軌道相互作用によってもたらされていることを示唆している。

論文

Charge-to-spin conversion and spin diffusion in Bi/Ag bilayers observed by spin-polarized positron beam

Zhang, H. J.; 山本 春也; Gu, B.; Li, H.; 前川 雅樹; 深谷 有喜; 河裾 厚男

Physical Review Letters, 114(16), p.166602_1 - 166602_5, 2015/04

 被引用回数:51 パーセンタイル:89.71(Physics, Multidisciplinary)

スピン偏極陽電子ビームを用いた最表面ポジトロニウム消滅過程の観測を通じて、Bi/Ag二層膜中のラシュバ-エデルシュタイン効果に伴う電荷-スピン変換の直接検出に初めて成功した。同一の通電方向に対して、BiとAgの表面では逆のスピン偏極が得られた。スピン偏極率は、膜の厚さが増すとともに指数関数的に減少することが知られた。以上の結果は、Bi/Ag界面で生成したスピンが、両層を通じて最表面に伝導・蓄積することを示している。

論文

放射性同位体を用いたスピン偏極陽電子ビーム

河裾 厚男

陽電子科学, (4), p.9 - 22, 2015/02

本稿では、放射性同位体から生ずる陽電子のスピン偏極性、スピン偏極陽電子ビームの開発、スピン偏極陽電子消滅の基礎、及び、スピン偏極ポジトロニウム測定による金属表面の電流誘起スピン蓄積の研究、について解説する。

論文

Positronium formation at low temperatures; Ideas of usage of the new Ps formation

平出 哲也

Materials Science Forum, 445-446, p.234 - 238, 2004/02

浅く捕まった電子と陽電子によるポジトロニウム形成は低温域での高分子中や分子固体中の現象を矛盾なく説明し、予測された現象,可視光の効果,ポジトロニウム形成の電子濃度依存性,遅れて起こる形成、などを実験により検証した。この新しいポジトロニウム形成は浅く捕まった長寿命の電子と陽電子の反応によるため、強磁場中,極低温では浅く捕まった電子がスピン偏極する。ここにスピン偏極した陽電子を入射し、ポジトロニウム形成を起こすと、形成されたポジトロニウムのスピン状態の分布に反映され、実験で確認できる。この現象を用いることにより、陽電子のスピン偏極率の測定も可能であると考えられる。これら内容について招待講演する。

論文

Positronium formation reaction of polarized positrons and polarized electrons

平出 哲也; 熊田 高之

Materials Science Forum, 445-446, p.301 - 303, 2004/02

高分子や分子性固体に入射した陽電子は陽電子トラックの末端に形成されるスパー近傍で熱化し、近くに存在する過剰電子などの活性種と反応し、ポジトロニウムを形成する。この形成では電子のスピンは完全にランダムである。一方、放射線等で起こるイオン化に伴って放出される電子は十分低温では浅く束縛され、暗黒中で長時間安定に存在する。自由陽電子は浅く束縛されている電子を引き抜いてポジトロニウムを形成できるが、この電子の場合、強磁場中,極低温に置くとスピンの方向は揃いはじめ、偏極させることができる。そこに偏極陽電子を入射し、形成されるポジトロニウムのスピン状態に効果が現れることを実験で確認した。

論文

Incommensurate magnetic ordering and spin-liquid-like state in a triangular lattice BaVS$$_{3}$$; Neutron diffraction and scattering study

中村 裕之*; 山崎 朋明*; Giri, S.*; 今井 英人*; 志賀 正幸*; 小嶋 健児*; 西 正和*; 加倉井 和久*; 目時 直人

Journal of the Physical Society of Japan, 69(9), p.2763 - 2766, 2000/09

 被引用回数:61 パーセンタイル:87(Physics, Multidisciplinary)

S=1/2バナジウム三角格子BaVS$$_{3}$$の30Kにおける異常が、NMRで調べられた結果考えられていたように軌道秩序によるものではなく、q=(0.226, 0.226 0)に磁気ピークが生じる不整合な磁気秩序によるものであることを明らかにした。磁気転移以上でも、秩序状態と同じ反強磁性磁気相関が、金属-非金属転移によって生じたスピンギャップよりも低エネルギー側の励起として観察され、この温度領域で、一種のスピン液体的な状態にあることを明らかにした。

口頭

スピン偏極ポジトロニウム飛行時間測定法の開発

前川 雅樹; Zhou, K.*; 深谷 有喜; Zhang, H.; Li, H.; 河裾 厚男

no journal, , 

スピン偏極低速陽電子ビームを用いたスピン偏極陽電子消滅法においては、表面近傍での偏極電子-偏極陽電子対の2光子消滅における磁場効果だけでなく、表面から放出されるポジトロニウムの3光子消滅率の変化としても検出することが可能である。ポジトロニウムの形成においては、その仕事関数に相当する準位幅にある電子のみがポジトロニウムの形成に寄与するため、ポジトロニウムの速度分布は電子状態密度に関する知見を与える。すなわち、スピン偏極陽電子ビームを使った表面放出ポジトロニウムの飛行時間測定を行うことで、物質表面の電子状態密度のスピン偏極状態を測定することが可能になると期待される。現在、そのような測定が可能なスピン偏極ポジトロニウム飛行時間測定(SP-PsTOF)装置の構築を進めている。

口頭

Optimization of dynamic nuclear polarization system for contrast variation in small angle neutron scattering

能田 洋平

no journal, , 

水素核スピン偏極の小角散乱への応用に着目し、重水素化の難しいシリカ補強材充填ゴムに対して、核スピン偏極によるコントラスト変調を実現してきた。前回のSANS実験では水素核スピン偏極度(upスピンとdownスピンの割合の差)は26%止まりであったが、更に向上させることで、より広い幅でのコントラスト変調を達成できる。核スピン偏極度を向上せるため、電子スピンから水素核スピンへの偏極移動を促しているマイクロ波(94GHz)照射強度の増強を実施した。結果として、水素核スピン偏極度を50.8%へと増大させることに成功した。本研究成果を活かすことで、J-PARCにおける中性子小角散乱実験のパフォーマンス向上が期待できる。

口頭

Dynamic nuclear polarization of epoxy resin

能田 洋平; 熊田 高之; 山口 大輔; 社本 真一

no journal, , 

優れた成形性から様々な応用が期待されるエポキシ樹脂へとTEMPOラジカルを導入し、その核スピン偏極性能を評価した。実験の結果、1.2K、3.35テスラにおいて、39%という良好な核スピン偏極度を達成した。この偏極性能は、従来用いられてきた他のポリマーと比較して遜色ないものである。

口頭

Spin-polarized positron beam study of surface spin polarization

Zhang, H.; 山本 春也; Li, H.; 前川 雅樹; 深谷 有喜; 河裾 厚男; 関 剛斎*; 齊藤 英治*; 高梨 弘毅*

no journal, , 

Some important magnetic effects, such as giant magnetoresistance and tunneling magnetoresistance, occur near the interface between magnetic and nonmagnetic layers. Spin-injection electrodes, which will be used in spin devices, are normally thin films. Spin phenomena such as the spin Hall effect and the giant Rashba effect occur near surfaces. These are potential applications of spin-polarized positron beam. In this presentation, we introduce our research and development of highly spin-polarized positron beam using a $$^{68}$$Ge-$$^{68}$$Ga source in addition to conventional $$^{22}$$Na sources and their applications to the band structures of classical and new ferromagnets including Heusler alloys, the surface ferromagnetism, and current-induced spin polarization on some non-magnetic metal surfaces.

口頭

スピン偏極ポジトロニウム飛行時間分解測定の検討

前川 雅樹; Zhou, K.*; 深谷 有喜; Zhang, H.; Li, H.; 河裾 厚男

no journal, , 

スピン偏極陽電子ビームを物質に照射した場合、表面から放出されるポジトロニウム(Ps)の3光子消滅率が表面電子スピンの変化により影響されることを利用すると、物質表面における電子スピンを検出することが可能である。さらに表面放出Ps飛行時間(TOF)測定を行うことができれば、物質表面の電子状態密度のスピン偏極性を測定することが可能になる。現在、そのようなTOF測定装置の構築を進めている。スピン偏極陽電子ビームは減偏極を避けるため静電レンズにより輸送されるため、TOF測定に必要なタイミング信号取得のためのビームパルス化が困難である。そこでビームライン途中に設けた薄膜を通過する時に放出される2次電子の検出時刻を利用している。このタイミング信号の取得に成功し、時間スペクトルの取得に向けて装置の調整を行っている。

口頭

金属ガリウムターゲットによる高効率$$^{68}$$Ge線源製造

前川 雅樹; Zhou, K.*; 深谷 有喜; Zhang, H.; Li, H.; 河裾 厚男

no journal, , 

高スピン偏極陽電子ビームを形成するため線源として、サイクロトロンを用いて窒化ガリウムターゲットに高エネルギープロトンビーム照射を行うことで$$^{68}$$Ge-$$^{68}$$Ga線源を製造してきた。これまでに250MBqほどの線源強度の蓄積に成功し、スピン偏極陽電子ビーム形成を行ってきたが、更なる実験精度の向上のためにはビーム強度の増大が不可避である。現状のサイクロトロンのビームでこれ以上の陽電子ビーム強度を得るためには効率的な線源生成を行う必要があるため、従来の窒化ガリウムに代わり、より純度の高い同位体分離された金属ガリウムターゲットの開発を行った。金属ガリウムは合金反応を起こしやすいため封入が困難であったが、カーボンとは合金反応を起こしにくいことが分かり、新たにカーボン製カプセルを開発した。金属ガリウムはカーボン台座に鋳造した後、100$$mu$$m厚のカーボン薄膜とカーボンボンドを用いて封止した。イオンビーム照射および陽電子取り出しはこの薄膜を通じて行う。オフライン試験で1000度の加熱試験を行ったが損傷は見られず、さらに20MeVプロトンビーム照射試験でも従来の1.5倍のイオンビームにも耐えうることを実証した。照射後のガリウムの漏えいや汚染は見られなかった。

口頭

水素核スピン偏極コントラスト変調SANSの高度化とJ-PARCへの展開

能田 洋平; 山口 大輔; 社本 真一; 橋本 竹治; 熊田 高之; 高田 慎一; 小泉 智; 大石 一城*; 鈴木 淳市*; 増井 友美*; et al.

no journal, , 

水素核スピンの向きを一方向に揃えること(水素核スピン偏極)でも、中性子散乱長を制御できるという中性子の特徴を活かし、中性子小角散乱(SANS)におけるコントラスト変調法を実現し、多成分から構成されるナノ構造の解析を展開してきた。今回の発表では、より広幅なコントラスト変調を実現するため行ってきた、水素核スピン偏極効率の向上のための各種の取り組みについて報告する。さらには、先日行った、J-PARC大観での水素核スピン偏極コントラスト変調実験の成果についても報告する。

口頭

The First experiment of spin contrast variation SANS at J-PARC BL15 TAIKAN

能田 洋平; 山口 大輔; 社本 真一; 橋本 竹治; 熊田 高之; 高田 慎一; 小泉 智*; 大石 一城*; 鈴木 淳市*; 増井 友美*; et al.

no journal, , 

水素核スピンの向きを一方向に揃えることによって散乱長が変化するという中性子の特徴を活かし、中性子小角散乱(SANS)におけるコントラスト変調法を実現し、多成分から構成されるナノ構造の解析を展開してきた。先日、実験に成功した、J-PARC大観での水素核スピン偏極コントラスト変調実験の成果について報告する。

口頭

スピン偏極ポジトロニウム飛行時間測定による表面磁性測定装置の開発

前川 雅樹; Zhou, K.*; 深谷 有喜; Zhang, H.; Li, H.; 河裾 厚男

no journal, , 

スピン偏極低速陽電子ビームと再放出ポジトロニウム(Ps)の3光子消滅率測定法を用い、磁性薄膜表面に存在する電子スピンの検出と電子偏極率を評価している。Ps形成は金属最表面よりさらに0.1nmほど真空側の極めて低電子密度な領域でのみで起こるため、真の金属最表面の電子スピンが得られるが、さらに再放出Psの速度分布(TOF)も取得できるよう装置開発を行っている。これによりフェルミ面といった特定の電子状態の電子スピンのみを選択的に抽出できると期待される。通常、陽電子ビームのTOF測定はパルスビームを用いてタイミング信号を取得するが、スピン偏極陽電子ビームは減偏極を避けるため静電レンズ輸送でありパルス化が困難である。また静電レンズ輸送では輸送中のビームエネルギー制御が難しく、試料直前に設置した電極によりエネルギー制御を行っているため試料からの二次電子をタイミング取得に用いることもできない。そこでビームライン途中の薄膜通過時に放出される2次電子を利用する。現在、そのようなTOF装置の構築を進めており、2次電子の信号取得に成功している。ビーム強度の向上を目指して陽電子線源部の改良を進めている

口頭

スピン偏極陽電子ビームを用いた酸化亜鉛空孔誘起磁性の検出

阿部 浩之; 前川 雅樹; Zhou, K.*; 河裾 厚男

no journal, , 

近年、電子のスピンを利用した新たなデバイスの創生を目指して、スピントロニクス材料の研究が進められている。スピン偏極陽電子消滅測定法は、材料中の余剰スピンを検出することができる手法である。これは、陽電子と電子がスピン偏極している場合、消滅$$gamma$$線のドップラー拡がり測定で得られる電子運動量分布がスピン反転に対して非対称性を示すことを利用している。スピントロニクス材料研究で重要視される薄膜材料の評価を行うために、我々はスピン偏極陽電子ビーム開発を進めている。本研究では、このスピン偏極陽電子ビームを用いて、酸化亜鉛(ZnO)の空孔誘起強磁性の検出を試みた。100keV酸素イオン照射により、表面近傍に空孔型欠陥を導入し、正負磁場中において、消滅$$gamma$$線のドップラー拡がりスペクトルを観測した。その結果、磁場反転に対してスペクトル強度が変化することを見出した。これは、陽電子と消滅する電子がスピン偏極しており、磁場によってその向きを変えることを示している。

口頭

電子線照射試料とTEMPO添加試料における動的核スピン偏極ダイナミクス

熊田 高之; 能田 洋平*; 石川 法人

no journal, , 

本研究では偏極のダイナミクスの観点から放射線照射試料と化学添加試料の動的核スピン偏極を比較した。結果、電子線照射試料では偏極・緩和速度ともフリーラジカル濃度にほぼ正比例するが、化学添加試料では自乗に比例した。Cross Effectの理論に基づけば、核スピン偏極・緩和ともに近接する2つの電子スピン(フリーラジカル)のフリップ・フロップによって誘発される。化学添加試料のようにフリーラジカルが均一分布した試料では、偏極・緩和は偶然近接したフリーラジカル対によって引き起こされることから、その速度も電子スピン濃度の自乗に比例したと考えるのが自然である。一方、電子線照射によって試料中に生じたフリーラジカルは、Spurとよばれる直径数ナノメートルの空間内に数個ずつ局在する。電子線照射試料の偏極・緩和はSpur内のフリーラジカル対によって引き起こされることから、それらの速度はSpur数そしてフリーラジカル濃度に比例したものと考えられる。

口頭

化学添加と電子線照射試料における動的核スピン偏極ダイナミクス

熊田 高之; 能田 洋平*; 石川 法人

no journal, , 

動的核スピン偏極(DNP)では試料中にフリーラジカルを化学添加する必要があるが、結晶試料などにはその添加が困難である。そこで我々は、放射線分解により試料中に生じるフリーラジカルを用いたDNP技術に着目した。本研究では偏極ダイナミクスの観点から両者を比較しその特徴に迫った。電子線照射試料では偏極・緩和速度ともフリーラジカル濃度にほぼ正比例するが、化学添加試料では自乗に比例している。Cross Effectの理論に基づけば、核偏極・緩和ともに近接する電子スピン対のフリップ・フロップによって誘発される。化学添加試料において速度が濃度の自乗に比例するのは、均一分散したフリーラジカルが偶発的に対を作る確率に相当する。一方、ポリエチレンを電子線照射すると放射線によるC-H結合の直接分解、および生成したHラジカルによる引抜反応によりアルキルラジカル対を作る。速度が濃度に正比例するのはこのアルキルラジカル対が偏極・緩和を引き起こすと考えられる。

口頭

中性子反射率実験用動的核スピン偏極装置の開発

熊田 高之; 阿久津 和宏*; 大石 一城*; 森川 利明*; 河村 幸彦*; 鈴木 淳市*; 鳥飼 直也*

no journal, , 

構造研究に用いる冷中性子の軽水素核に対する散乱能は両者の相対的なスピン方向に強く依存する。そのため、水素を構成元素に持つソフトマテリアル複合材料の構造解析においては、試料の水素核偏極度を変えながら複数の偏極中性子散乱プロファイルを測定し、それらを総合的に解析することで単一測定では得られない成分毎の構造情報を得ることができるようになる(スピンコントラスト法)。我々は本手法を中性子反射率測定と組み合わせ表面構造の解析に広げようと考え、核スピン偏極装置の開発を行った。ポリスチレン標準試料を用いて測定したところ、新装置の偏極度はマイクロ波強度とともに増大し12%まで達したが、それ以上の強度では減少してしまった。これは、マイクロ波入射に伴う試料の温度上昇により核緩和速度が増大したためであると考えられる。偏極度12%はスピンコントラスト実験が可能な偏極度であるが、2017年3月のマシンタイムまでにもう少し上げたいところである。

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